2022 SXSWのパネルピッカーの応募受付が6月29日から始まるらしく、久しぶりにSXSWからメールで案内が届いた。メールによると2021 SXSWのコンテンツもすでにYouTubeに公開されているようなので幾つかチェック。2021年のSXにはオンラインで参加したが、FILMフェスティバルのコンテンツは、ジオブロックの制限でほとんど観ることが出来ませんでした。
これまで現地テキサス州オースティンで開催されてきたこのコンベンションに参加するには、部門毎に10万円ほど、旅費と宿泊費を加えると40万程度は費用が必要。これでは容易に参加など出来ないのだが、2020年のSXSWは開催直前にオースティン市からの要請でコロナ感染防止のため急遽、オンランに移行した。今年は、ほぼ1年の準備期間を使ってフルオンラインで開催。2020年の12月(?)頃に販売が開始されたアーリーバードのオンラインチケットの宣伝文句には「全てのFILMやセッションをオンラインで参加出来ます。」と案内されていた。FILMのジオブロックについて説明はなかったが、破格な値段に期待しつつ購入しました。しかし、開催してみるとFILM業界のお約束通り、コンテンツにはジオブロックが掛かり、アメリカ国内からのみアクセス可能でオンライン上でのスクリーンキャプチャーさえ不可能という徹底(普通かな)ぶりだったのです。
そいう状況でもパネルピッカーで選ばれたセッションは見る事ができたし、ほとんどのパネルディスカッションも一応オンラインで時間をずらして見ることも可能だった。ただ、あまりにもセッションが多く会期中には全てをみることは不可能でした。
FILMで公開された作品のくわしい解説はPRONEWSにも出ているので詳しい説明は省きますが、オンラインのFILM上映はやはりジオブロックがつきもので配給も収益と権利保護の為にジオブロックが最低限の条件としてリクエストしています。それでも短編作品のいくつかと長編が日本からアクセスできました。
PRONEWS
VRスタジオでのパネルディスカッション
今年のSXSWでのオンラインセッションの中で特に印象に残るセッションはVR・ARについてのセッションでした。この《XR at a Crossroads: Maintaining Empathy》はSXSW のVURTUAL STUDIOというセットアップで収録されています。XRとはVR/MR/ARなどの総称ということらしい。つまり、xRealityのことですね。
《XR at a Crossroads: Maintaining Empathy》パネルピッカー2021の提案内容もなかなか面白い。
セッション中はVR空間をカメラが動き、なかなか凝った演出。Zoomを使ったミーティング映像で見る個人宅のバラバラな空間を集めたアンバランスさがない安定した画面に出演者も落ち着いた様子です。
パネルは
Ryan Groves | Founder & CEO | Infinite Album
Lucas Rizzotto | Founder, Creator | Where Thoughts Go, Lucas Builds the Future
Christina Kinne-Menardi | CMO & Events Mgr | Tivoli Cloud VR
Dan Franke | Founder, Dir | Studio Syro
SXSW ONLINE XR
今年のSXSWはVRチャットも出来るXRコンテンツでオンラインのイベントを体験出来るようになっていました。OculusなどVRヘッドセットは所有していないのでこちらもPRONEWSさんのレポート記事に紹介されています。
SXSW Online XRの海を泳げ!この世界はもうすぐそこに
pronewS
「SXSW Online XR」参加レポ、コンセプトから日本のVRイベントとは違いました
Engadget 日本版
PRONEWS内の記事にある、VRChat用のアバター《サニア》の3Dデータは網野環さん制作。こちらで販売中。VRChatもこれからもっと話題になりそうですね。
VRコンテンツでは、SXSWのすぐ後にオンライン上で公開されたPorter Robinsonの《Secret Sky Festival》のインターフェースがセンス良く、違和感なくVR空間を楽しめました。日本では5Gのコンテンツとして渋谷の街をモデルにしたものや、映像が鑑賞出来る部屋をメタファーにVRコンテンツが公開されていますが、仮想空間が街や一般的な屋内空間としていないので、よりVRコンテンツとして優秀だと思います。
VIRTUAL CINEMA
ONLINE XR のプログラムの一つにVIRTUAL CINEMAがあります。
今回はブラウザでも視聴出来るコンテンツをいくつか見ましたが特に注目したのは《Space Explorers: The ISS Experience Episode 2: Advance》
制作はカナダのVR制作会社Felix & Paul Studios。8K-360°映像はZ CAM V1 ProのカスタムセットアップでISSに持ち込まれ撮影されたようです。サウンドデザインはHeadspace Studio、XRに特化したイマーシブ・オーディオ・スタジオが担当。4部作の予定の第2部、ワールドプレミアのコンテンツはISSの内部の詳細が分かる非常に興味深い内容でした。
YouTubeにSXSW2021のコンテンツが公開されたので、じっくり振り返りが出来るのですが、この膨大なコンテンツが公開されるなら無理してオンラインストリーミングに参加しなくても良かったかも、という考えもよぎりますが、オンライン開催中の参加者同士のネットワーク構築にはどうしてもリアルタイムの参加が魅力的です。
コロナ渦の影響で2年連続のオンライン開催となったSXSWの運営母体:SXSW LLCの経営状況は苦しくなってしまったようです。4月にRolling Stone、Billboard、Variety、VibeやHollywood Reporterなど、音楽とエンターテインメントの分野で有名なP-MRCがSXSWに出資を受けたことをThe Austin Chronicleが報道しています。P-MRC の出資比率は SXSW, LLCの50%となったようです。
SXSWの当初から重要な役割を果たしてきたThe Austin Chronicleに加えて、メジャーな出版事業を抱えるP-MRCとの新たなパートナーシップによってSXSWのさらなる発信力が期待されます。■